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【下部尿路感染症(LUTI)①~原因・症状~】~"すきま時間"の獣医学~

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【はじめに】

今回は『下部尿路感染症(LUTI)』についてです。よく聞く膀胱炎などがこの病気に含まれます。通常は病原体がいない尿路でどうして感染が起こるのかを中心に解説していきたいと思います。

 

【目次】

 

【下部尿路感染症について】

『下部尿路感染症とは』

下部尿路(膀胱と尿道)で起こる感染症のことを言います。一般的に雄よりも雌での発生が多いと言われています。


『どうして起こる?』

通常の場合
尿路はもちろん尿の通り道です。排尿という行為はおしっこを出すだけでなく、尿路をを洗浄するという作用もあります。こうして正常時は膀胱や尿道を清潔に保っているのですが、ちょっとしたきっかけでこのバリアが破綻してしまう瞬間があります。

上行性と下行性とは
病原体が尿道から侵入して、上へ上へと登ってくる感染症を上行性と言います。一方で、菌血症から続発して、腎臓→尿管→膀胱と降りてくる感染症を下行性と言います。
確認される尿路感染症のほとんどは上行性です。

誘因
尿路の防御機構に綻びが生じるきっかけとして、以下のような因子が考えられます。

①尿の残留
尿道結石や腫瘍、神経障害、膀胱憩室の奇形などが原因で、尿が残ってしまう場合です。

②膀胱粘膜の障害
尿カテーテルを無理に挿入したり、膀胱結石があったり、シクロフォスファミド(抗がん剤)などを使用している場合です。

③尿量の減少
水分摂取量が少なかったり、糖尿病などで尿糖を排出している場合です。

④免疫障害
クッシング症候群であったり、免疫抑制剤を使用している場合にはもちろん細菌感染が起こりやすくなります。

原因となる病原体は?
尿路感染症の原因となるの病原体は主に『細菌』です。

発生が多い細菌は
・Escherichia coli
・Staphrococcus spp
・Proteus spp
・Klebsiella spp
・Enterobactor spp
などが挙げられます。

Staphrococcus属菌以外はグラム陰性菌であり、尿路感染症の原因菌はグラム陰性菌が多い(約75~80%)ことが示唆されます。ちなみに真菌でもたまに発生が認められますが、稀です。

『症状はなに?』

基本は軽度
下部尿路感染症では感染巣が限局されている場合はそれほど重篤な症状が認められることがありません。しかし、上行性が進行し、腎臓の方まで波及してくるようになると、急性腎障害などの症状が認められます。

具体的な症状
・少量頻回の排尿
・有痛性排尿
・血尿
などです。尿石症や腫瘍では排尿障害を示し、無尿や乏尿になることがあります。

下腹部を触ると
膀胱がある辺りを軽く押してみると、痛がったり、膀胱壁がボコボコした様子が触知できることがあります。無理押しすぎると、粘膜面を傷つける可能性があるので、注意してください。

【最後に】

今回は『下部尿路感染症』の原因と症状をご紹介しました。尿路感染症の主な原因は細菌でその中でも腸内細菌である大腸菌の感染が多いです。糖尿病や免疫抑制剤を使用している動物ではそうした感染症が多く起こるので、注意しましょう。

 

【関連記事】

『下部尿路感染症②~診断方法・治療法~』

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『膀胱腫瘍について』

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『尿石症について』

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『多飲多尿について』

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