オタ福の語り部屋

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【尿沈渣で見えるもの~円柱編~】"すきま時間"の獣医学

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【はじめに】

今回は『尿沈渣で見えるもの~円柱編~』についてです。「尿検査しましょうね」病院でよく聞く尿検査。なんとなく尿を調べることはわかるけど、実際何を調べているのでしょうか?
尿検査の1つに『尿沈渣』というものがあります。今回はそんな尿沈渣のお話です。

【目次】

 

【尿沈渣について】

『尿沈渣とは』

尿沈渣とは採取した尿を遠心分離機にかけ、沈殿した物質をいいます。沈渣には赤血球や白血球、円柱、細胞など固形成分が含まれています。

『尿沈渣の検査方法』

尿を遠心した後、スライドガラスに少量とり、カバーガラスをかけて、顕微鏡で観察します。鏡検を行う際、最初は無染色で観察し、必要があればニューメチレンブルー染色を行います。

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【鏡検してみよう!】

『赤血球が見えた』

赤血球の評価方法
HPF(×400視野)で何個見えるか評価します。詳しい基準は下記表を参照。

尿が赤い時に考えること
採尿時に尿が赤く見える場合は『血尿』と『血色素尿』の鑑別することが重要です。

・血尿:本当に血液が尿に混じる
・血色素尿:ヘモグロビンが尿に混じる←体内のどこかで赤血球破壊

血尿と血色素尿は両方とも、尿が赤くなります。顕微鏡で観察して、赤血球が見られるのは『血尿』と考えてよいでしょう。

『白血球が見えた』

白血球出現の原因
白血球が出てくる原因は2つあります。

①出血によるもの
②炎症によるもの

①出血によるもの
血液中には赤血球の他に白血球も含まれています。血尿を呈している場合は白血球も見られます。赤血球も観察されるかを見てみましょう。

②炎症によるもの
白血球の増加で注意すべきはこっちの場合です。感染症などの炎症性変化が認められる場合があります。

 

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『円柱について』

円柱とは
円柱は腎の尿細管の中で起こっている病理学的変化を表しています。正常時はLPF(×100倍率)で2~4個以下です。

円柱ができるメカニズム
尿が尿細管内に停留し、尿細管を鋳型としてムコ蛋白やアルブミン、水分などがゲル化して作られます。

『円柱の種類』

硝子円柱
蛋白やムコ蛋白からなる円柱。透明感があり、無色、均一無構造の円柱として観察されます。大量出現で腎障害が示唆されます。

 

顆粒円柱
「硝子円柱+顆粒」で顆粒円柱と言えます。顆粒の正体は尿細管上皮の変性産物または血清蛋白の凝集物です。

蝋様円柱
硝子円柱に似ているものの、わずかに顆粒があったり、端が切れていたりと不整な形を呈します。尿細管上皮の変性性変化に伴って出現するとされており、慢性重度腎疾患が示唆されます。見つかると危険度の高い円柱です。

上皮細胞円柱
剥離した尿細管上皮から形成される円柱です。急性の尿細管壊死などに伴って出現します。

脂肪円柱
球形の脂肪滴を含んだ円柱です。尿細管上皮の脂肪変性で出現するとされています。猫では尿細管に脂肪が多く、腎不全ではこの脂肪円柱が多々みられます。犬では糖尿病の際に見られます。

赤血球円柱
赤血球を含む円柱で腎性の血尿を示すものです。動物ではあまり見られません。

白血球円柱
円柱の中に好中球を主体とする炎症細胞が見られるものです。急性腎盂腎炎や間質性腎炎、糸球体腎炎などで出現します。

【最後に】

今回は『尿沈渣で見えるもの~円柱編~』について紹介しました。尿検査は侵襲度が低く、臨床現場では頻繁に行われる検査です。今回の記事を読んで、こんな検査してるんだと知ってもられたら幸いです。

【本記事の参考書籍】

石田卓夫 著 : 伴侶動物の臨床病理学 第2版, 緑書房, 2014, 137-138p

 

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