オタ福の語り部屋

獣医学を追求する。その先に見えるものは…

【猫ヘルペスウイルス感染症】~"すきま時間"の獣医学~

スポンサーリンク

f:id:otahukutan:20191008191226p:plain

【はじめに】

今回は『猫ヘルペスウイルス感染症』についてです。よく地域猫で、鼻水が出ていたり、結膜炎を起こしている猫ちゃんがいますよね。それもしかすると猫ヘルペスウイルス感染症かもしれません。この病気は感染猫の鼻水や目やにから感染が拡がっていく病気です。

 

【目次】

 

【猫ヘルペスウイルス感染症について】

『猫ヘルペスウイルス感染症とは』

猫ヘルペスウイルス感染症は猫ヘルペスウイルス1(FeHV-1)によって引き起こされる感染症の総称を言います。

典型的な症状として、
・鼻炎
・結膜炎
などの上部気道炎などがあることから、『猫ウイルス性鼻気管炎』とも呼ばれます。

『どのような経過を辿るのか』

感染経路
FeHV-1は感染猫の唾液や、鼻汁、目やになどに含まれていて、そういった分泌物を口や鼻、目などの粘膜部位から取り込むことで感染します。

感染後の流れ
感染が起こると、ウイルスは鼻腔粘膜上皮で増殖し、結膜や咽頭、気管支などの呼吸器系へと拡がっていきます。

各部位へ波及し病気が進行してくると、粘膜表面で『びらん』『潰瘍』ができ、『結膜炎』『鼻炎』など先ほどお話しした典型的な症状を示すようになります。

回復後は潜伏する
病気を発症し回復してくる頃、FeHV-1は三叉神経節に潜伏感染します。潜伏感染とは『症状は示さないが、体内に病原体が生存し続けている状態』をいい、その猫は生涯ウイルスを持ち続けます。

免疫抑制剤を使用したり、過度なストレスを受け免疫力が低下するとウイルスが再び活性化し、症状が現れたり、感染力を取り戻します。

『症状』

典型的な症状
鼻炎、結膜炎、発熱、沈鬱、食欲不振、流涎、発咳
などが挙げられます。

重感染が怖い
猫ヘルペスウイルス感染症を発症している猫ではそのほかのウイルスや細菌も一緒に感染している場合があります。こういった『重感染』が起こると、状態が悪化することがあります。

・猫カリシウイルス
・クラミジア
・ボルデテラ
・マイコプラズマ
などがFeHV-1と重感染を起こす病原菌の代表です。

『診断方法』

王道な検査方法
診断方法は主に3つあります。
①ウイルス核酸の検出
②ウイルス抗原の検出
③抗体の血清学的診断法

一番使い勝手が良いのは
これらの検査のうち、一番使い勝手が良いとされているのはPCRを用いたウイルス核酸の検出です。口腔や鼻腔、結膜の分泌物を採取し、PCR検査を行います。

病変部の組織所見
猫ヘルペスウイルスの特徴として、『好酸性核内封入体』が認められます。直接診断に関わることではないのですが、特徴的な病理組織所見としてここに記載しておきます。

『治療法』

基本的には予防に努めるべきなのですが、なってしまったものを仕方ありません。行うべき治療は『対症療法』が中心となります。鼻汁や目やにを取ってあげ、脱水があれば輸液を行います。

そのほかには二次感染(重感染)を避けるために『抗菌薬』を投与したり、点眼薬やIFN-γなどの抗ウイルス薬を使用します。

『予防が一番大事』

予防方法としてはワクチンがあります。ワクチンをきちんと接種し、感染源になり得ることやストレスの原因を避けましょう。
感染猫を見つけた場合は隔離するなどして、ほかの猫との接触を避けましょう。

【最後に】

今回は『猫ヘルペスウイルス感染症』について解説しました。猫のヘルペスウイルスは感染猫の分泌物から感染が拡がっていきます。感染を拡げないためにも、衛生管理を徹底し、ワクチン接種で予防を心がけましょう。

【本記事の参考書籍】

日本獣医内科学アカデミー編 : 獣医内科学 第2版, 文英堂出版, 2014, 618-619p

 

【関連記事】

『猫のその他の感染症』 

www.otahuku8.jp

www.otahuku8.jp