オタ福の語り部屋

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【胃拡張・胃捻転症候群】~"すきま時間"の獣医学~

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【はじめに】

今回は『胃拡張・胃捻転症候群』についてです。この病気は大型犬での発生が多く、少し治療が遅れると命を落としかねない、とても緊急性が高い病気です。

 

【目次】

 

【胃拡張・胃捻転症候群】

『胃拡張・胃捻転症候群とは』

胃拡張・胃捻転症候群は通称:GDVと呼ばれています。GDVは胃が何らかの原因で膨らんだり、正常部位から位置がズレてしまう病気です。

『どのような犬で発症しやすい?』

大型犬~超大型犬での発症が多く、特に胸郭が深く、狭い犬種で好発です。あと、親犬や兄弟にGDV発症歴がある場合は発症の危険があるとも言われています。逆に小型犬や猫ではほとんど起こりません。

具体的な好発犬種
・グレート・デン
・ワイマラナー
・セント・バーナード
・ジャーマン・シェパード・ドッグ
・アイリッシュ・セッター

などが好発犬種として知られています。

『GDVの症状とは?』

GDVは胃が拡張し、捻れてしまう病気です。胃が捻れて、出口が塞がってしまうとガスがどんどんと胃の中で溜まってきます。やがて、胃はパンパンに膨れ上がり、様々な病変を起こすことになります。

よく見られる症状
・嘔吐(←胃の出口が詰まっているので何も出ない)
・腹痛
・悪心
・よだれがたくさんでる

『GDVの危険性について』

危険性①:心拍出量の減少
胃にたくさんのガスがたまり、膨れ上がると後大静脈や門脈が圧迫されます。すると心臓へ返ってくる血液量が少なくなり、心臓から全身へ送れる血液量(心拍出量)も自ずと少なくなります。心拍出量の減少は血圧の低下を引き起こします。

危険性②:胃の壊死
胃が捻れると、胃へ栄養を送っている血管も捻れてしまい、詰まってしまいます(ちょうどホースを捻ると水が出なくなるのと同じ)。胃へ血液が行かなくなると、胃は血液不足によって壊死してしまいます。壊死すると胃は脆くなり、時として胃に穴が開いてしまう場合があります。

これを『胃穿孔』と言うのですが、胃穿孔になると最悪で、腹膜炎という急性の強い炎症を起こし、敗血症によって命を落とす場合があります。

危険性③:低酸素血症
胃の拡張で、胸を圧迫し呼吸しずらくなります。結果として、低酸素血症になります。

『なぜ起こる?原因は?』

正確な原因は分かっていませんが、

・一度に大量にあげるような食事
・食後の運動
・ストレス
・食器を高い位置に置いて食べさせる

これらのことが発症に絡んでいると示唆されています。

 

『診断方法は?』

GDVの診断はレントゲン検査によって行われます。胃内に大量にガスが溜まっている像と、胃が捻れている像として『ピラーサイン』を見つけることでGDVと診断します。

『治療法』

①まずは減圧
口からチューブを入れたり、腹壁から胃をめがけて留置針をさしたりと胃内に溜まったガスを抜きます。

②輸液
心拍出量低下による、血流障害を改善するために輸液によって血流量を増やしてあげます。

③抗菌薬
胃壁の壊死などで敗血症を起こしている可能性があるので、全身性の抗菌薬を投与します。

④状態が安定すると手術
①~③によって状態を安定させたら、手術を行い、胃の壊死した場所の除去と、再発を防ぐために胃の固定を行います。

【最後に】

今回は『胃拡張・胃捻転症候群』としてGDVを紹介しました。GDVの死亡率は25~40%と非常に高く、危険な病気です。大型犬が吐こうとしているのに全然吐けなかったり、よだれが溢れている時、辛そうにしている時はGDVの可能性があるので早急に病院へ連れて行きましょう。