【はじめに】
今回は『免疫抑制を目的に使用する薬』についてお話しします。
今回紹介するような免疫力を敢えて抑える薬は自己免疫疾患など自分の免疫が悪さをすることで、自分の体が攻撃されてしまう病気で使用されます。
これらの薬にはどのようなものがあり、どのような効果や副作用があるのかについて解説していきたいと思います。
【目次】
【免疫抑制を行う薬の分類】
正確な分類ではないですが、オタ福が勝手に分類してみました。
免疫抑制を行う薬の分類
・グルココルチコイド系
・免疫抑制剤系
・抗がん剤系
これらの3つに分類してみました。
『グルココルチコイド系』
グルココルチコイド系の代表的な薬
・プレドニゾロン
・デキサメタゾン
特にプレドニゾロンはステロイド薬の中では最も一般的に使われる薬なので聞いたことある方は多いかと思います。
これらの薬の特徴は『(効くのが)早い』、『(値段が)安い』、『(効果が)よく効く』の三拍子が揃った薬です。しかし、いいことばかりではありません。
ステロイド薬は長期服用により、副作用が出やすいため、諸刃の剣として扱われることが多々あります。
有名な副作用として『医原性クッシング症候群』という病気があります。これはステロイド薬を長期服用することで、クッシング症候群になってしまう病気です。
クッシング症候群の主な病変
・多飲多尿
・多食
・お腹のたるみ
・左右対称の脱毛
・皮膚の石灰沈着
プレドニゾロン服用中にこれらの症状が見られた場合、『医原性クッシング症候群』になっている可能性があります。
『免疫抑制剤系』
免疫抑制剤系の代表的な薬
・シクロスポリン
・アザチオプリン
・ミコフェノール酸モフェチル(mmf)
これらの免疫抑制剤はプレドニゾロンと併用することが多いです。ステロイド薬はこれらの免疫抑制剤系の薬と併用することで、用量を減らすことができ、服用の長期化が予測される場合や副作用が出てきた場合はこちらの薬との併用を検討します。
これらの薬は副作用はステロイド薬ほど強くはないです。ただ、薬の効果が出るのに日数がかかるので、ステロイドの即効性と併用することで力を発揮する薬と言えます。
ちなみに猫ちゃんはアザチオプリンを代謝できないので、使用は禁忌。ご注意を。
『抗がん剤系』
抗がん剤系の代表的な薬
・クロラムブシル
・シクロフォスファミド
はっきり言いますが、これらの薬は抗がん剤です。
抗がん剤と聞くと、ガンに対して使用されるイメージがありますが、抗がん剤は幅広く免疫系を抑制する作用があるので、場合によっては免疫抑制の目的として使用することもあります。
さすが抗がん剤というだけあって、その副作用も強く、注意すべきは『骨髄抑制作用』です。骨髄抑制作用とは骨髄で血液を作る力が弱ってしまう作用のことで、貧血や出血傾向、好中球減少症などが見られます。投与のたびに血液検査を行うなどして、こまめにモニタリングを行なっておく必要があります。
【最後に】
今回は『免疫抑制を目的とする薬』をテーマに3つのジャンルに分けて紹介しました。自己免疫疾患を発症し、どうしても免疫抑制剤が必要になることがあります。そんな時、ちょっとした"すきま時間"でサクッと読んでもらえたらいいなと思います。