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『犬猫の食物アレルギー、食物不耐症』で現れる症状について

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【はじめに】

前回の【その食べ物アウトかも⁈『食物アレルギー・食物不耐症』とは①~概要編~】にて食物アレルギーと食物不耐症がどのような病気なのかをお話ししました。

今回はそれら食物有害反応の『症状』『検査方法』『治療法』についてお話ししていこうと思います。

 

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『犬猫の食物アレルギー、食物不耐症』で現れる症状について 

犬猫の食物アレルギー、どうやって診断・治療するの? 

【目次】

 

【犬の皮膚病変】

『症状が出始める時期』

犬の場合、症状が出始める時期については年齢や性別はあまり関係ありません。
報告例としては4ヶ月〜14歳があり、なかなか幅が広いようです。

とはいえ、皮膚病変を示し始める犬の33~51%が1歳以下であることから、離乳食をきっかけに発症するといことが多いのでしょう。

 

『好発犬種』

・ボクサー
・チャイニーズ・シャーペイ
・コッカースパニエル
・コリー
・ダックスフンド
・ダルメシアン
・ジャーマン・シェパード
・ゴールデン・レトリバー
・ラブラドール・レトリバー
・ラサ・アプソ
・ミニチュア・シュナウザー
などです。

『具体的な症状』

犬の食物有害反応は季節を問わず年中痒がり、アトピー性皮膚炎に類似した症状を示します。

痒みの症状が現れる部位
顔面(耳、眼、口の周囲)、体幹、肉球、鼠径部、肛門周囲など

痒みが現れる部位(犬)(図解)

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その他のよくある症状
・続発性の細菌感染
・続発性の酵母菌感染:マラセチア
・丘疹
・膿疱
・脂漏症
・耳炎:マラセチアや細菌感染による
・皮膚の色素沈着
・苔癬化
・脱毛

あまりないけど報告がある症状
・蕁麻疹(じんましん)
・多形紅斑
・血管炎
・アナフィラキシー
・口唇、顔面、まぶた、耳、結膜の腫れ

 

【猫の皮膚病変】

『症状が出始める時期』

猫の場合、症状が出始める時期については年齢や性別はあまり関係ありません。
報告例としては6ヶ月〜11歳があり、皮膚病変は猫の46%が2歳まで発症するとされています。

『好発品種』

・シャム猫
・シャムミックス
・バーマン

 

『具体的な症状』

痒み
猫の食物アレルギーでは100%の猫で全身性の掻痒感(痒み)が生じます。

初期には頭、首、耳に始まり
やがて、脇腹や腹部、背中、鼠径部へと痒みが拡がって行きます。
痒みがひどい猫では自分の体を傷つけるほど掻き続けてしまいます。

痒みが現れる部位(猫)(図解)

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脱毛
この手の脱毛は剥離性、滲出性、粟粒性皮膚炎によって起こる脱毛です。

その他の病変
・鱗屑性皮膚疾患
・外耳炎
・好酸球性プラーク
・潰瘍
・蕁麻疹(じんましん)
・血管浮腫
・結膜炎

食物アレルギーと診断された猫では…
・20~50%の猫で真性好酸球増加症
・30%で中〜重度の末梢リンパ節の腫脹

 

Food hypersensitivity was diagnosed in a 4-year-old Siamese cat. Clinical signs included intense erythema, with alopecia, excoriations, erosions, and crusts involving the ventral portion of the abdomen, inguinal region, medial aspect of each thigh, and cranial and lateral aspects of all 4 limbs. The cat was intensely pruritic. Histologically, there was cutaneous mast cell hyperplasia and diffuse infiltration of eosinophils in the dermis. Blood eosinophilia also was found. Clinical signs resolved after exclusive feeding of a hypoallergenic diet. 引用文献:Food hypersensitivity in a cat.

 

『食物アレルギーとの併発疾患について』

同じ患者で複数のアレルゲンによってアレルギー反応が現れることはあまりないです。しかし、報告はあります。

犬では
食物アレルギーを示す犬では20-30%の割合で、アトピー性皮膚炎やノミアレルギーを持っていることがわかっています。

猫では
食物アレルギーを示す猫では35%の割合でノミアレルギーを持っています。

 

【犬と猫で見られる消化器症状とは】

『好発のあれこれ』

好発品種・好発年齢はともに素因は無く、どの個体でも起こりやすいです。ただ好発品種は多少あるみたいです。

好発品種
・チャイニーズ・シャーペイ
・ジャーマン・シェパード
・アイリッシュ・セッター

『具体的な症状』

具体的な臨床症状
・嘔吐
・腹鳴(お腹が鳴ること)
・間欠性の腹痛
・下痢:頻度や量、硬さがモロくなる
 

『鑑別疾患』

鑑別疾患とは
食物有害反応による症状と似た症状を示す別の疾患のことです。これらを頭に浮かべ、検査を行い、真の疾患を探していきます。

グルテン過敏性腸症
この病気は穀物類に含まれるグリアジンやグルテニンを摂取した際に起こる病気で、穀物類フリー食を与えると症状が治ることが特徴です。アイリッシュ・セッターに遺伝的素因があるとされています。
人間では『セリアック病』としてこういった病気が知られています。

しかし、人のセリアック病はMHCクラスⅡ対立遺伝子の組み合わせが関与しているのに対し、犬のグルテン過敏性腸症はMHCクラスⅡによって決定されないため、犬の場合は必ずしも『セリアック病』とは同義ではないので注意してください。

Therefore, canine GSE may not be an appropriate model for CD, but nevertheless remains an important disease for advancing knowledge of pathological processes in the intestine. 引用文献:Genetic susceptibility to gluten sensitive enteropathy in Irish setter dogs is not linked to the major histocompatibility complex.

 

IBD(炎症性腸症)
IBDは免疫状態や腸内細菌叢など複数の要因が絡み合って起きています。食事は腸内細菌の量と多様性を保つために必須なものです。
食物有害反応を示している時、腸内細菌のバランスが崩れ、IBDへと発展してしまう可能性が考えられています。

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【まとめ:これであれば食物アレルギーを疑え】 

この症状が見られたら、食物アレルギーを疑いましょう!という、5つの症状ご紹介します。

食物アレルギーを疑う5つの症状
・1歳未満で発症
・顔面(頭部、耳、瞼、口唇)が痒くなる
・一年中痒い:ノミ、ダニ、花粉ではない
・排便を1日3回以上する
・背中や肛門を痒がる

5つの症状(図解)

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【最後に】

今回は食物アレルギー、食物不耐症に関する症状についてお話ししました。食物アレルギーの症状は若年齢で発症することが多く、痒みや脱毛などの皮膚病変が目立ちます。また食物アレルギーを持つ犬猫の約2,3割はノミアレルギーなどの併発疾患を持っていることがわかっています。

 

【本記事の参考書籍】

Stephen J. Ettinger ; Edward C. Feldman ; Etienne Cote : Textbook of veterinary internal medicine. 8th ed., ELSEVIER, 2017, 797-801p

Keith A. Hnilica ; Adam P. Patterson : Small Animal Dermatology A Color Atlas and Therapeutic Guide. 4th ed., ELSEVIER, 2016, 202-207, 222-225p

日本獣医内科学アカデミー編 : 獣医内科学 第2版, 文英堂出版, 2014, 544-545p

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