オタ福の語り部屋

獣医学を追求する。その先に見えるものは…

アジソン病(副腎皮質機能低下症)

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今回は『アジソン病(副腎皮質機能低下症)』について説明します。

アジソン病は犬でよく見られ、猫では非常に稀な内分泌疾患です。

副腎ではグルココルチコイドやミネラルコルチコイド、性ホルモンといったホルモンを分泌する器官で、その分泌能を失うとどのような症状が出てくるのかを見て行きましょう!

 

ちなみに、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)というアジソン病の逆?についての記事はこちらを参考にして下さい↓↓

otahukutan.hatenablog.jp

 

【目次】

 

 

【副腎皮質とは】

副腎皮質は外側から球状帯、束状帯、網状帯と呼ばれる3つの層状構造を持っています。

冒頭でもお話ししましたが、副腎はホルモンを分泌しています。

そのホルモン分泌は層ごとにホルモンの種類が異なります。

球状帯:ミネラルコルチコイド→主にアルドステロン

束状帯:グルココルチコイド→主にコルチゾール

網状帯:性ホルモン→主にアンドロジェン

 

※アルドステロン:腎臓でNaの再吸収、細胞内K濃度の維持

※コルチゾール:血糖値上昇、抗炎症作用など

※アンドロジェン:テストステロン(男性ホルモン)の元になる

 

これらのホルモンは生命維持に不可欠なホルモンであり、アジソン病によるホルモンの分泌不全は死へ直結します。

副腎はそれだけ大切な器官なのです。

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【病態生理:何が起こっているのか】

人のアジソン病では…

ステロイド産生に関与する酵素である21-ヒドロオキシラーゼに対する自己抗体が産生されていることが分かっています。

つまり、自分で自分のホルモン産生を邪魔しているということです。

 

犬の場合は…

詳しくは分かっていないです。リンパ球形質細胞性副腎炎や副腎萎縮が見られることから、何らかの免疫異常が原因ではないかと考えられています。

 

ある特定の遺伝子が原因?

アジソン病には好発品種が存在することから、ある特定の遺伝子がアジソン病に関与しているのではないかと言われています。

まだはっきりとは解明されてないので、あくまで“可能性がある”ということです。

 

家族性アジソン病の素因がある品種

・ポメラニアン

・グレート・デン

・レオンベルガー

 

現時点で解明されていること

アジソン病に関連する遺伝子に関して

・常染色体優勢遺伝病ではない

・関与する遺伝子は1つだけではない

 

スタンダード・プードルやウォーター・ドッグ

・常染色体劣性遺伝病である

・主に関与する遺伝子は1つ

 

ウォーター・ドッグやスプリンガー・スパニエルで関与する遺伝子

犬白血球抗原をコードしている遺伝子

CTLA-4をコードしている遺伝子

※CTLA-4

制御性T細胞(Treg)の細胞膜に多く発現している分子で、T細胞の活性化を抑制する方向に働かせます。

この分子をコードしている遺伝子に変異が起こると、T細胞の制御ができず、必要以上に活性化させてしまうため、自己免疫疾患を誘導する原因となります。

 

コッカー・スパニエルで関与する遺伝子

PTPN22をコードしている遺伝子が過剰に発現している

※PTPN22について

protein tyroisne phosphatase non-receptor type 22 の略称で日本語ではプロテインチロシンフォスファターゼ非受容体22と言います。

T細胞やB細胞の受容体応答を亢進させ、自己免疫疾患を誘導します。

 

【分類:原発性?続発性?】

原発性副腎皮質機能低下症

原発性副腎皮質機能低下症とは副腎皮質が直接傷害を受ける疾患です。

このタイプには定型と非定型の2つの分類があります。

定型(90%):グルココルチコイドとミネラルコルチコイドの分泌能低下

非定型(10%):グルココルチコイドのみ分泌能低下

 

アルドステロン分泌能低下の有無は非常に重要で、主に電解質(NaやK)で大切です。

アルドステロン分泌能が低下すると、低ナトリウム血症や高カリウム血症を引き起こし、生命維持を揺るがす大きな問題となります。

しかし、

この定型、非定型は症状と必ずしもマッチしないことがあります。

診断当初はNaやKの濃度は正常であったが、次第に悪化してくる場合や、

もともと電解質調整をアルドステロンに依存しない体質の犬ではNaやKの濃度の異常が見られない場合もあります。

 

考えられる原因

もし仮に

人と同様、21-ヒドロオキシラーゼに対する自己抗体が犬のアジソン病に関与していたなら、

アルドステロン値の低下はコルチゾール値の低下よりも遅く出るはずです。

というのも 、アルドステロンを分泌する球状帯は束状帯や網状帯と比べ、21-ヒドロオキシラーゼの濃度が少ないためです。

 

その他、クッシング症候群の治療薬であるトリロスタン(アドレスタン®️)の過剰投与でも、副腎皮質機能低下を引き起こす可能性があります。

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続発性副腎皮質機能低下症

続発性副腎皮質機能低下症は視床下部や下垂体が何らかの障害を受ける

ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)やCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌不全が起こる

副腎での副腎皮質ホルモンの分泌指令が出なくなる

こういった下垂体や視床下部が原因によるものを続発性と言います。

 

続発性の特徴①

アルドステロン分泌の制御は主にRAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)と呼ばれるシステムが行なっているため、一般的に枯渇するのはコルチゾールのみとなっています。

 

続発性の特徴②

非定型原発性と同様、アルドステロンの低下を認めません。

しかし、原発性の場合ACTH濃度の低下を認めないという点で、続発性と異なります。

続発性はACTH分泌不全による副腎皮質機能低下症です。

 

続発性の特徴③(医原性続発性副腎皮質機能低下症)

外因性のステロイドを長期間投与していると、下垂体がネガティブフィードバッグを受け、ACTHの分泌を抑制してしまいます。

ステロイドを休薬してから、下垂体のACTH分泌能を回復するまでは時間が必要なため、徐々に減薬しなければなりません。

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【臨床徴候】

好発年齢

3~4歳

しかし、バラツキが多く6ヶ月齢~12歳齢まで見られる。

 

好発品種

チワワ、ゴールデン・レトリバー、ヨークシャー・テリア、ピット・ブル

 

身体検査

脱水

アルドステロンの低下により、Naの再吸収が腎臓でできなくなります。Naは浸透圧を高め、尿量を増やします。そのため、多尿が見られます。

尿として体の水分が大量に出ていくため、脱水が起こります。

 

収縮期血圧の低下

アジソン病ではないと診断された犬と比較して、アジソン病の犬では有意に血圧が低下しています。

・アジソン病でない犬の血圧中央値:140mmHg(50~210mmHg)

・アジソン病の犬の血圧中央値:90mmHg(40~150mmHg)

 

その他

・低血圧:脱水とグルココルチコイドの枯渇による

・徐脈:高K血症による(K濃度勾配↓→再分極の延長→不応期の延長)

・腹痛:グルココルチコイドの枯渇→腸粘膜の傷害

 

高K血症で起こっていること生理学なので読み飛ばしオッケー!!

本来、心臓では

『心筋細胞のNaチャネル開口→脱分極→Caチャネル開口→プラトー相(ゆっくり脱分極)→Kが濃度勾配によって細胞外へ急速に流出→再分極』

を繰り返しています。

 

しかし高K血症の時は心筋細胞外液のカリウム濃度が異常に高い状態になっています。

これにより、

 

『心筋細胞のNaチャネル開口→脱分極→Caチャネル開口→プラトー相(ゆっくり脱分極)→Kが濃度勾配によって細胞外へ急速に流出Kの濃度勾配が低く、流出速度が著しく低下再分極が延長→なかなか次の収縮活動に移れない』

 

これにより心拍数が落ち、徐脈になります。

 

【症状】

副腎皮質機能低下症で見られる症状は以下のものです。

・食欲不振

・体重減少

・嘔吐:血が混じることは少ない

・下痢:血が混じることは少ない

・無気力、虚弱:グルココルチコイド の枯渇による低血糖

・多飲多尿:アルドステロン枯渇でNaの再吸収↓→浸透圧利尿

・震え:低血糖による

・虚脱:重篤なケース。全身の力が抜けて倒れ込んでいる状態

ただ強いストレス下に身を置くと、一時的に症状が消えることがあるので注意が必要です。

 

【診断】

診断の大まかな流れ

アジソン病を疑う症状、身体検査が見られる

血液検査で視床下部ー下垂体ー副腎軸の異常を見抜く

ACTH刺激試験により、確定診断する

 

こんな感じで診断のフローがあります。

それぞれを細かく見ていきましょー^_^/ 

血液検査(CBC)

110匹のコントロール犬と53匹の副腎皮質機能低下症の犬を比較した実験でわかったこと

・赤血球系は有意な差は見られない

・好中球は減少する

・リンパ球と好酸球は上昇する

 

血液検査(生化学)

電解質

副腎皮質機能低下症の犬ではアルドステロンの枯渇により、Naの再吸収とKの排泄ができなくなります。

そのためこの病気をもつ80%の犬では低Na血症と高K血症を示すことが報告されています。

そのほかの電解質でも低Cl血症と高Ca血症があります。

Na:Kの比は副腎皮質機能低下症を疑う1つの指標となります。

Na:K=1:>27の時→95%副腎皮質機能亢進症を疑う

Na:K=1:<24の時→ACTH刺激試験を行うことで確定できる

 

 

腎前性高窒素血症

循環血液量の減少と脱水が主な原因です。

この時、腎マーカーであるBUN、Creは

BUN:高値

Cre:正常値

となります。

重度になると急性腎障害などを引き起こしますが、治療を開始するとすぐに元に戻ります。

 

 血液ガス(アシデミア)

アシデミアとは『血液のpHが酸性に傾いている状態』のことを言います。

副腎皮質機能低下症を示す犬の63%がこのアシデミアという状態になっています。

 

アシデミアになる原因

通常、近位尿細管上皮では

Na-H逆輸送担体によってNaが再吸収される代わりにH+が尿細管管腔内に放出されます。放出されたH+は管腔内でHCO3-と結合し、H2CO3となり、その後H2OとCO2に分けられ、尿細管上皮に吸収されています。

しかし、アルドステロン枯渇によるNa再吸収阻害が起こるため、H+の放出ができず、HCO3-も吸収されずに排泄されます。

これにより、血液のpHは酸性に傾きます。

 

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低Cl血症

副腎皮質機能低下症を示す犬の40~60%で見られます。

遠位尿細管と集合管の間にある接合尿細管ではNa-Cl共輸送担体があり、NaとClは一緒に再吸収されています。

低Clが見られる原因はこのNa-Cl共輸送担体が影響しています。Naの再吸収が阻害される病気なので、一緒に吸収されるはずのClまで再吸収されないためです。

 

 

高Ca血症

副腎皮質機能低下症で多く見られるのは総カルシウムの上昇で、イオン化カルシウムの上昇はあまり見られません。

ただ、なぜ高Ca血症を示すのか完全には分かっていません。

 

【高Ca血症の原因①】

PTHrP(パラソルモン関連タンパク)活性型ビタミンD濃度(1,25-ジヒドロキシビタミンD3:カルシトリオール)関与して“いない”です。 

 

【高Ca血症の原因②】

グルココルチコイドはカルシウムの排泄を促すのですが、そのグルココルチコイドが枯渇することは血中Ca濃度の上昇に繋がります。

 

 

低血糖 

約20%の犬で低血糖が見られます。ただ、その程度は軽度で、命に関わるような重度の低血糖になるのは稀です。

原因としてはグルココルチコイドの枯渇に伴い、糖新生やグリコーゲンの産生ができなくなっています。

 

尿検査

Naの漏出多尿によって等張尿が見られます。

 

心電図

徐脈が見られる犬では高K血症に伴い

・P波の消失

・QRS波の延長

・テント状T波の出現

が見られます。

 

X線

小心症←循環血液量低下に伴う

 

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【副腎系の診断方法】

副腎皮質機能低下症を証明するためにはグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの分泌能を検査する必要があります。

ただ、1つの検査で2つの分泌能をまとめて見ることはできないので、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドは別々に検査します。

ACTH刺激試験

グルココルチコイドの分泌能の低下を証明するためにはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)刺激試験を行います。

 

グルココルチコイドの検査

ACTH刺激試験を行う前に血清コルチゾール濃度を測定

合成ACTHを5mcg/kgをIV(静脈投与)←IVじゃないと意味ない

1時間後、再び血清コルチゾール濃度を測定

 

結果

血清コルチゾール濃度

正常:刺激前→0.5~0.6mcg/dL 刺激後→>2mcg/dL

アジソン病:刺激前も刺激後も→<1mcg/dL

※たまにアジソン病でも1mcgを超えている犬がいるので、除去診断も大切です。

 

ミネラルコルチコイドの試験

血清NaとKの濃度を評価することでアルドステロンの分泌能を間接的にですが、測定できます。

そのほか、血清アルドステロン濃度と血清レニン活性の比でもわかります。

副腎皮質機能低下症の犬ではその比が著しく低いです。

 

 

基礎コルチゾール濃度の測定

副腎皮質機能低下症の除去診断や非定型アジソン病の診断に有効です。

 

【治療法:アジソンクリーゼ】

アジソンクリーゼとはアルドステロンの枯渇により、電解質異常が重度になった状態で、一般的に緊急疾患として考えられています。

 

輸液療法

低Na血症の是正

生理食塩水による補液が推奨されています。

生理食塩水にはNaとClが多く、Kが少ないという特徴があるため、アジソンクリーゼになっている犬では生食の輸液が一番効果的なのです。

 

低Na血症が持続すると脳浮腫になります。

これは細胞外液の浸透圧低下に伴う脳浮腫です。

高K血症はNaの是正とともに治ることが多いです。

 

高K血症の是正

ブドウ糖液を静脈注射することもあります。

理論としては

ブドウ糖を静注し、血糖値をあげる

インスリンが分泌される

糖と一緒にKも細胞内へ運ばれる

という流れです。

注意点としてはブドウ糖を入れると血漿浸透圧が上昇し、水分が増えるので、血中Naは希釈され、濃度は下がってしまいます。低Na血症が重度の時は気をつけましょう。

 

ブドウ糖の静注でコントロールできなかった場合は、直接インスリンを投与してしまうのもアリです。しかし、その時は低血糖にならないかを注意しましょう。

 

DOCPの投与

DOCPとはピバル酸デソキシコルチコステロンといい、長期作用型のミネラルコルチコイド製剤です。

ACTH刺激試験を行なった後、アジソン病が確定してから投与するべき製剤です。

2.2mg/kgで筋肉注射します。

 

グルココルチコイド療法

グルココルチコイド療法は通常必要はないのですが、使用する場合はACTH刺激試験を行うのに必要な1時間は我慢するべきです。

というのも、ACTH刺激試験を行う前にグルココルチコイドを投与してしまうと、下垂体での負のフィードバックがかかり、ACTHがうまく副腎で反応しなくなるためです。

 

どうしても必要だという時はデキサメタゾンを使用するべきです。

デキサメタゾンはコルチゾール分泌能評価に影響を与えないためです。

しかし、やはりこれも視床下部からでるCRHや下垂体からのACTHの分泌を抑制するので、多少結果にアーチファクトがかかってしまいます。

 

【治療法:維持療法】←足りない分を補うイメージ

電解質異常もなく、嘔吐、下痢、食欲不振もなくなって、状態が安定してきたら、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドの投与によって、病気のコントロールを行なっていきます。もし、電解質異常が見られない場合はグルココルチコイドの投与だけでも大丈夫です。

 

グルココルチコイドの投与

副腎皮質機能低下症でよく使われるグルココルチコイドはプレドニゾロンフルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンです。

用量は医原性クッシング症候群に注意しながら、症状を抑えられる用量を見つけていきます。それにはある程度の試行錯誤が必要です。

徐々に減薬していき、半数の犬ではもう投薬が必要なくなるところまで回復します。

あと、ストレスがかかることが予想される場合はあらかじめ、投与しておくべきです。

 

 

 グルココルチコイド製剤の違い

プレドニゾロン、フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン何が違うのかについて話したいと思います。

先ほどこれらの薬についてグルココルチコイドとして説明しましたが、これらの薬はミネラルコルチコイドも含まれています。

下の表を参考にしてみてください。

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ですので、何が足りてなくて何を補いたいかで使われる製剤は変わります。

 

・グルココルチコイドの補充がしたい→プレドニゾロン

・ミネラルコルチコイドの補充“も”したい→フルドロコルチゾン

・どちらも万遍なく補充したい→ヒドロコルチゾン

といった具合になります。

 

ミネラルコルチコイドの投与

上の表で一発で分かると思いますが、ミネラルコルチコイドを投与したい時はDOCPとフルドロコルチゾンを用います。

NaとKのバランスをモニタリングしながら、投与量を決めていきます。

 

【治療中の経過観察】

副腎皮質ホルモン製剤の適度な用量を見つけるためには、頻繁に通院し、コストもかかります。しかし、一度適度な用量を見つけたら、あとは犬の調子を見つつ、NaとK濃度を再チェックするために数ヶ月に1回通院するだけですみます。

 

グルココルチコイドは健康状態を見ながら徐々に減量していきます。

ミネラルコルチコイドもNa:K比レニン活性を見ながら、減量していきます。

 

投薬期間、この症状が見られたら注意

多飲多尿が見られたら注意です。

多飲多尿は副腎皮質ホルモンが過剰に出ても、枯渇しても起きてしまう症状で、投薬量のコントロールに失敗していることがを暗示しています。

 

副腎皮質ホルモン

過剰の場合:コルチゾールがバソプレシン(抗利尿ホルモン)を抑制→尿量増加

枯渇の場合:アルドステロン分泌能低下→Na再吸収能低下→浸透圧利尿→尿量増加

 

【最後に(まとめ)】

今回は副腎皮質の機能が低下してしまうアジソン病について紹介しました。

簡単にまとめたので、ぜひ復習に使ってみて下さい!

 

原因

副腎由来のアジソン病自己免疫疾患の関与が疑われる

視床下部・下垂体由来のアジソン病腫瘍や外傷などが考えられている

 

症状

消化器症状:嘔吐、下痢→食欲不振→体重減少

アルドステロン枯渇:多尿→多飲あるいは脱水

低血糖・低血圧:無気力、震え、虚脱

 

診断

血検:低Na血症、高K血症→Na:K比が<27で95%疑う、アジデミア

心電図:高K血症→徐脈、テント状T波、QRS波の延長、P波の消失

X線検査:脱水→循環血液量減少→小心症

尿検査:Naの漏出→尿濃縮能↓→等張尿

ACTH刺激試験:刺激前後で血清コルチゾール濃度が上昇しない

 

治療法(アジソンクリーゼ)

輸液療法:生食→Na、Kの均衡を正す、

ブドウ糖:インスリン分泌↑→糖と一緒にKを細胞内へ移動

DOCP:強力なミネラルコルチコイド製剤→Naの再吸収能↑→Na:Kを是正

 

治療法(維持療法)

グルココルチコイド の投与:状況に合わせて、用量を製剤の種類を変える

ミネラルコルチコイドの投与:DOCPやフルドロコルチゾン

 

経過観察

モニタリング:最初はこまめに投与量を調整、安定するまで。

注意すべき症状:多飲多尿→投与量の失敗を示唆→早急に対応すべき

 

予後

安定すると割と良好な経過をたどる

半数近くの犬が副腎皮質ホルモン製剤を断つ事ができる