オタ福の語り部屋

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高齢で好発の慢性腎臓病(CKD)

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CKDのアイキャッチ画像

今回は『慢性腎臓病』について説明します。

慢性腎臓病は腎機能が著しく低下し、末期の腎不全から尿毒症へと進行していく、不可逆性の疾患です。

ペットの寿命が伸び、高齢化が進むに連れて慢性腎臓病の数は増えてきているように感じます。

特に高齢の猫ちゃんで多いです。

僕が実際に見たことある一番長寿な猫は18歳と6ヶ月の子でした。この子も見た目はとても健康そうに見えるのですが、慢性腎臓病を発症し、輸液療法のために通院していました。

というわけで、年齢とともに発症リスクが上がる病気です。そんな慢性腎臓病について一緒に見ていきましょう!

 

ちなみに、
病態や症状、治療法を説明するにあたり、腎臓の正常機能を知っておく必要があります。図解を中心に腎臓機能を説明した回を設けたので、本回を読む前に参考にしてみて下さい。

『腎臓の生理学』はこちら↓

www.otahuku8.jp

 

【目次】

 

 

【概要】慢性腎臓病(CKD)ってどんな病気?

『CKDの定義とその他の用語の説明』

慢性腎臓病(CKD)において『慢性腎臓病とはこれだ』といった一方向からの定義付けは難しいです。
慢性腎臓病は腎臓に慢性的な病変が存在し、その進行が腎機能の持続的な低下を引き起こす病態です。
つまり、“何らかの病変”がずっとあり、その病変が腎臓の機能を低下させ、その結果が悪い方向へと働く疾患を考えて良いでしょう。
 

『腎臓関連のワードの定義』

言葉の定義付けは非常に難しいものです。皆がよく耳にする腎臓の病態を示す言葉を簡単に説明しておきます。

腎不全
腎機能の低下により高窒素血症、あるいは尿毒症を呈して状態で、腎臓の機能的障害だけを表現する言葉です。慢性腎不全は疾患名にはなりません。
 

腎機能不全
腎不全と似ていますが、腎機能の低下(高窒素血症)を示す言葉で、尿毒症などの症状は出ていない状態を言います。
 

高窒素血症
糸球体濾過量の低下により、血液中のBUNあるいはCre濃度またはその双方が上昇していることを指します。
 

尿毒症
詳しくは後述しますが、尿毒症とは高窒素血症が長引いた結果、老廃物や電解質異常、そのほかの代謝産物が蓄積し、全身性の中毒性症状を呈したものです。
 

『CKDの病期分類』

CKDの病期分類では進行の程度に合わせ、4つのステージで分類されています。
腎臓という臓器は代償性機構というものを備えています。

「代償性機構とは」

腎機能が低下し始めたCKD初期において働く機構で、糸球体での濾過量が低下した際、残った正常の糸球体を失った糸球体の分まで頑張らせることで腎機能の低下を最小限に抑えようとするものです。

具体的には10個のネフロンで濾過していたとします。
ある日、ネフロンの4個が障害されてしまったなら、残りの6個のネフロンで10個分の仕事量をするということです。

 

人間で例えてみたら

10人でやっていた仕事量を4人病欠しても残りの6人でやり遂げなければならない。最初の方はいいですが、何日も休まれると残りの6人も疲弊しきってしまう。
そういった状況です。大変ですよね?(笑)

 

 では、『どのようにして、失った分の腎機能を補うのでしょうか?』

フィルター機能として働くネフロンにとって、濾過量をあげるためにはどうしたらいいでしょうか?

方法としては主に2つあります。

【濾過量を上げる方法】
①糸球体を肥大させて、濾過面積を増やす
②濾過する圧力を上げる

 

 糸球体の代償性機構(図解)

糸球体の代償性機構(図解)

 

単純に考えると意外にもしっくり来ます。

確かに濾過量を上げるなら、一個一個の糸球体の面積を増やす。そして、フィルターにかける圧力を高める。機序としては当然でしょう。

ですがこれも人間界と一緒です。

代償性機構は想像通り、長くは持ちません。

①肥大と②高血圧による伸長ストレスによって、いずれは血管内皮細胞は傷害を受け、糸球体は破壊されます。
その結果、蛋白尿が出て来ます。蛋白尿は尿細管間質の繊維化を招くCKDの増悪因子かつ、早期診断の手がかりになるので見逃せません。

ちなみに糸球体の肥大と高血圧は前回説明したRAASで出てくるアンジオテンシンⅡというものが関与しています。

 

「病期分類の表(SDMAも記載!!)」

病期分類の表である。この表は『IRISによる犬と猫のCKD病期分類』と言われています。引用:下記参照

f:id:otahukutan:20190929223549p:plain

CKDはいかに早く発見し、病態の進行を防ぐかが重要になる病気です。

そのため、症状が出ていないステージⅠでの早期発見が重要になります。

 

『IRISによる犬と猫のCKD病期分類』

出典:IRIS Staging of CKD

 

【原因】CKDになるまでの流れ

CKDとは慢性的な腎臓疾患によって、腎機能が持続的に低下したことで起こる病態のことを指します。慢性的な腎疾患について説明した後、腎機能が低下していく原因について話していこうと思います。

『CKDに繋がる腎疾患とは』

正直言って、原因はめちゃくちゃあります。とりあえず、どれくらいあるかザッと挙げてみます(笑)

「CKDに繋がる腎疾患」

糸球体腎炎
・腎アミロイド症
間質性腎炎
・腎盂腎炎
・腎結石
・レプトスピラ症
・多発性嚢胞腎
・高カルシウム血症
・腎虚血
・腫瘍

まだまだあります。

つまり、『CKDはこれによって起こる』というものはなく、腎臓の疾患が続くことでCKDになるということだけわかってもらえれば良いでしょう。犬・猫で多い代表的な疾患を1つずつ挙げることにします。

 

『犬で多い糸球体腎炎』

感染症や自己抗体、腫瘍などが原因で産生された免疫複合体が糸球体の基底膜やメザンギウム細胞に沈着し、補体反応によって組織傷害を引き起こす疾患です。

簡単にいうと、糸球体が破壊されてしまう疾患です。 糸球体が破壊されると、濾過機能が著しく低下するのは当たり前です。その結果、蛋白尿が見られるようになるのです。

この尿中にでる蛋白が悪さをします。
尿中にでた蛋白は尿細管細胞において、IL-6やTGF-βなどのサイトカインを誘発し、炎症、線維化へと進行させます。

用語の説明
・IL-6:T細胞性リンパ球やマクロファージを誘発し、炎症の原因を作る
・TGF-β:コラーゲンなどの結合線維を合成し、線維化を促進する

 

尿細管がこれらの因子によって、線維化してしまうと、腎機能の著しい低下を招くことになります。

というわけで、
蛋白尿は初期のCKDを診断する上で非常に重要であるため、尿検査は欠かせないのです。

 

『猫で多い尿細管間質性疾患』

この病気の原因を明らかにすることは難しいです。
猫は何かと尿細管間質がやられやすい。人間がストレスを感じるとお腹が痛くなると同様に、猫では腎臓が痛くなるのです。そんな具合で考えてもらえれば良いでしょう。

問題なのは、糸球体が傷害されにくいということです。

糸球体が傷害を受けないということは先ほどの犬で説明した蛋白尿の出現がないのです。
これにより、早期発見が遅れ、猫ではCKDが進行してから診断がつくことが多いです。
この疾患の初期症状として主におしっこの濃縮能が低下するという病態が目立ちます。が、そんなの見つけるの難しいですよね(笑)
そのため、たくさんおしっこをして、たくさん水を飲むようになる(多飲多尿のが特徴になります

 

『腎機能低下を進行させる線維化とは?』

線維化とは正常な細胞が何らかの原因で傷害を受けると、コラーゲンなどの膠原線維に置き換わってしまうことで、正常な働きができなくなることであります。
糸球体腎炎のところでお話ししたが蛋白尿があると蛋白が尿細管を刺激し、IL-6TGF-βを誘導します。これら2つは線維化を行います。TGF-βによって、尿細管に細胞外基質が沈着し、線維化が起こるのです。TGF-βはアンジオテンシンⅡによって活性化されるので、『代償性機構』と相乗効果で線維化が進むと考えられるでしょう。

 

【症状: 鍵は『腎臓の生理学』だ!】

ここでは、前回の『腎臓の生理学』を読んでから、進んで欲しいです。

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症期の進行に説明していきます。

『①臨床症状がない』

あれ?っと思われた方もいるかもしれません。

が、事実です。

実際、【病期分類の表】で示したステージⅠやⅡの初期では初期のCKDでは代償性機構が働いているため顕著な腎機能低下は見られません。
それゆえに症状も出ないというわけです。

 

『②多飲多尿』

前回の『水分量の調節』の項を見て下さい。

腎臓では尿中の水を再吸収して、尿をより濃縮する役割があります。 CKDではこの機能が破綻し、尿の濃縮能が激烈に低下します。

そのため、

『おしっこをたくさんする→脱水→水をたくさん飲む→おしっこをたくさんする』

のサイクルを繰り替えします。

問題は脱水です!!
CKDになっている腎臓はかなり弱っていると考えて下さい。腎臓に必要な血液量は心拍出量の約20%であり、かなり血液を必要とします。元々、それほど血液が必要な腎臓でかつ、CKDにより弱っている…
ここに脱水が加わって、十分な血液量を確保できないとますますCKDを高める要因になります。
脱水を避けるためにも、常に水が飲める状態にしておかなければならないのです。

 

『③腎性貧血』

前回の『エリスロポエチンの産生』の項を見て下さい。

腎臓ではエリスロポエチンを産生・分泌しています。エリスロポエチンは造血幹細胞を刺激し、赤血球の産生を指示します

CKDの場合、産生・分泌細胞がある腎臓間質が線維化を起こすため、産生できなくなります。よって、赤血球を作る指示が出せなくなり、貧血になります。

これは『正球性・正色素性貧血』『非再生性貧血』と言われるタイプの貧血です。

貧血に関する話は『「貧血」~血液検査を考える~』の記事を参考にしてみてください。

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また、後述の尿毒症の原因となる尿毒素は赤血球の寿命を短縮するので、なおさら貧血が助長されてしまいます。

 

『④尿毒症』

尿毒症は腎臓の機能が破綻した時に起こるCKDの続発疾患です。主にステージⅢ以降で見られる続発疾患です。

『腎臓の生理学』をほぼ全部使って理解しなければいけません。

尿毒症は高窒素血症が進行すると、老廃物や代謝産物の蓄積電解質の異常などの結果から、中毒性の症状を示すようになる疾患です。

正直なところここまで進行していればかなり重篤であるため、早急に血液透析を開始する必要があります。

 

尿毒症によって現れる主な中毒症状
・中枢神経症状:痙攣、振戦、昏睡(←フェノールによる)
・消化器症状:口臭、食欲不振、嘔吐、下痢、消化管潰瘍
・異常呼吸
・血液障害:貧血、血小板機能低下(グアニジンコハク酸による)

です。
これらは尿毒素の蓄積によって起こるとされています。尿毒素とは大半が蛋白代謝産物であり、そのほかには上記のフェノールやグアニジンコハク酸などがあります。

 

『⑤腎性二次性上皮小体機能亢進症』

これに関しては前回でいうところの『Caの再吸収とPの排泄』『ビタミンD3の活性化』 を参考にして下さい。
腎臓ではCaの再吸収、Pの排泄、ビタミンD3の活性化を行なっています。

腎機能が破綻すると、
・Caは尿中に出て行く
・Pは血中に溜まっていく→FGF-23の上昇→ビタミンD3の減少を促進
・ビタミンD3は活性化されない→Caの腎臓や腸管での吸収不全、骨へのCa沈着不全

が起こります。

 

こうなる、何がダメなのか?
血中Ca濃度は低下し、血中P濃度は上昇します。
すると、その濃度勾配を感知した上皮小体が頑張って、もっとPTHを分泌し始めます。腎臓のせいで、血中Ca濃度が二次的に低下し、上皮小体の機能が亢進します。

これが『腎性二次性上皮小体機能亢進症』です。

 

問題はここからです。
PTHが大量に分泌されると。骨にあるCaを血液中に引っ張ってくるため、破骨細胞性骨吸収が進み、スカスカになった骨には線維性結合組織に置き換えられるのです。

つまり、カチカチの骨がスカスカになって、ブヨブヨになる(笑)

全部、オノマトペで説明できちゃった(笑)
まぁ、でも確かにこういうことです。
特に上顎の骨がブヨブヨになるため、海外では『ラバージョー(ゴムの顎)』(下の写真参照)なんて呼ばれていたりします。

こうなってしまうと咀嚼(そしゃく)がうまくできなくなったり、口を閉じれなくなったりと不便が多いです。
ここまでくるCKDはかなり進行したステージにあると予想されます。

 

 

ラバージョーの写真

出典:UGA College of Veterinary Medicine EDUCATION, RESEARCH AND MEDICINE

 

症状:病期ごとにまとめた図 

症状:病期ごとにまとめた図

 

【診断:2方向から診断の光を当てる】

CKDの診断は

『腎機能(主にGFR)が低下していること』
『腎臓が線維化などの障害を受けていること』

この2つをメインに診断していきます。
そして、『IRISの病期分類』によって病期を決定していくことになるでしょう。もうかなりの分量書いてきて、説明もしてきているので、分かりきっているところはスタタっと書いていきます。

『血液検査 ここまで読んでたら、もうヨユー 』

「一般血液検査」

もう話しました。詳しくは『腎性貧血』
正球性・正色素性貧血、非再生性貧血を示します。

 

「腎機能検査(BUN、Cre)」

初期には代償性機構が働くため上がりません。ステージⅢ以降で上昇してきます。
上がる理由は『腎臓の生理学(老廃物の排泄)』

一般的には、
・Creは糸球体濾過率が60%以下にまで低下すると上昇する。
・BUNは糸球体濾過率が25%以下にまで低下すると上昇する
と言われています。

つまり、Creの方が病期の進行具合では早く上昇します。また、Creの増減は腎臓以外であまり影響を受けないです。一方で、BUNは腎臓以外でも影響を受けやすいです。

 

「最近出て新しい血液検査(SDMA)←これは熱い!!」

SDMAとは対称性ジメチルアルギニンの略です。
早期のCKDでも検出することができる画期的な検査法です。最近ではIRISのCKD病期分類の項目にも追加されました。

特徴
①GFR(糸球体濾過率)を評価する優れたマーカー
②Creよりも早期に上昇するため、早期診断に繋が
③Creは筋肉量が影響するのに対し、SDMAは腎臓に特異的

 

産生・排泄の機序
SDMAはアルギニンがメチル化を受け、モノメチルアルギニンになったものが蛋白分解によって循環血液中に放出されたもので、ほとんどが腎臓で排泄されます。 

 SDMA(対称性ジメチルアルギニン)について(図解)

SDMA(対称性ジメチルアルギニン)について(図解)

 

「そのほかの血液検査」

低Ca、高Pは既出
『腎性二次性上皮小体機能亢進症』

 

低K(カリウム)血症
CKDの猫でよく見られます。

理由として
・筋肉量が低下する
・尿中カリウムの再吸収ができていない
などが挙げられます。

重度の低K血症になった猫は“首がうなだれる”といった症状を示したりします。これは骨格筋の収縮に必要なKが確保できていないためです。

カリウムの役割に関しては→『腎臓の生理学(電解質の調節)』

 

高アルブミン血症

アルブミンとは血液中に含まれている蛋白の1つです。
主な原因としては脱水です。脱水で水分が減るので、血液に溶けているアルブミンが相対的に濃く数値がされてしまうのです。

脱水の原因→『多飲多尿』

④代謝性アシドーシス
腎臓の大切な機能の1つに『HCO3-の再吸収』というものがあります。HCO3-は血液のpHを正常に保つのに大切なイオンですが、腎機能低下に伴いHCO3-の再吸収ができなくなるため減少してきます。HCO3-の減少は血液のpHを酸性に傾けるため、代謝性アシドーシスが起こります。

『尿検査』

「尿比重」

尿比重とは尿をどれくらい濃縮できているかを見ています。

特徴としてはCreの上昇よりも早くにCKDの診断ができることです。

尿比重の定義と解釈(図解) 

尿比重の定義と解釈(図解)

CKDでは尿細管の線維化やレニンの分泌不全などで、尿濃縮能が著しく低下しています。

 

「尿蛋白」

糸球体、尿細管の傷害を反映しています。

蛋白尿があれば、それだけでCKDの診断がつきます。

後述のUPCという検査法によって証明します。

蛋白尿が出る原因は→『糸球体腎炎』

 

「UPC(尿中蛋白/Cre値):蛋白尿を証明するには」

尿中蛋白/クレアチニン値の数字で評価基準を設けています。

UPCの評価基準(図解)

UPCの評価基準(図解)

 

 

【治療法:IRISを参考に書いてみた】

『IRISとは』

IRISとは小動物の腎臓病に対する科学的理解を深めるために設立された団体で、CKDの治療法はここでの考えを参考に世界中の教科書は書かれています。

IRISのホームページに掲載されている治療法をこれから引用して解説します。

IRISが指定したガイドラインについては↓↓

www.iris-kidney.com

 

 

CKDの病期分類で有名なIRISのホームページでは病期ステージごとで

・脱水

・高血圧

・蛋白尿

・リン摂取制限

・代謝性アシドーシス

・その他

について行うべき治療法を説明しています。

それぞれのステージごとに書いてると分量がえらいことになっちゃうので、それぞれの症状+その他の大切そうな症状でどのような治療をしていくかを書いていくことにします。

 

 CKDの治療戦略(図解)

CKDの治療戦略(図解)

『①脱水』

・BUNが安定している場合は乳酸リンゲルを皮下点滴する

・BUNが上昇している場合は乳酸リンゲルを静脈点滴する

常に自由に水が飲めるようにしておく

脱水は腎臓病を悪化させるため、どうしても防ぎたいですね。

 

『②高血圧』

IRISのホームページでは

『収縮期血圧を160mmHg以下あるいは心臓や中枢神経、網膜など腎臓以外に害が出ないように維持したい』と書いてあります。

そして120mmHg以下で、頻脈とかが無いように注意すべし』とも書いています。

血圧をモニタリングしながら、これらのバランスをとっていきます。

高血圧が確認された場合

「Step1:低Na食療法」

低Na食療法で高血圧が改善される証拠は無いです。そのため、高血圧が改善されない場合は徐々に薬理療法に変更していきます。

「Step2:標準用量のACE阻害薬を使用する」

ACE阻害薬の説明は割愛させて下さい。

簡単に言えば、利尿剤だ。アンジオテンシン変換酵素(ACE)を邪魔して、利尿作用を高め、血液量を減らしたり、血管拡張したりして血圧を下げる薬です。

RAASに関連する話です。←『腎臓の生理学』を復習して下さい

「Step3:標準用量の2倍の用量でACE阻害薬を投与する」
「Step4:ACE阻害薬+Caチャネル阻害薬(アムロジピン)」

アムロジピン(ノルバスク®️、アムロジン®️)

腎臓の尿細管でNaを再吸収する際にNaとCaを交換して再吸収する回路をブロックして、Naの再吸収を防ぐといったものです。

 

「Step5:ACE阻害薬+Caチャネル阻害薬+アンジオテンシンⅡ受容体ブロッカー(テルミサルタン)and/orヒドララジン」

テルミサルタン(ミカルディス錠®️)

アンジオテンシンⅡと競合的に拮抗して、受容体との結合を防ぐ薬です。

つまり、血圧をあげるアンジオテンシⅡを邪魔して仕事をさせないための薬です。

 

ヒドララジン(アプレゾリン®️)

ヒドララジンは血管を拡張させて、血圧を下げる薬です。

 『高血圧のコントロール』IRISを参照(図解)

『高血圧のコントロール』IRISを参照(図解)

www.iris-kidney.com

 

『③ 蛋白尿』

目標としてはUPCを蛋白尿をボーダーラインである0.2~0.5で管理することです。基本的にはACE阻害薬低タンパク食です。加えてARB(アンジオテンシンⅡ受容体ブロッカー)を加えても良いです。

また、免疫複合体沈着性糸球体腎炎などでは免疫抑制剤を使用します。
低タンパク食の療法食はカロリー確保のため、どうしても高脂肪食になります。高脂肪食は膵炎のリスクを高めるので、そこも注意が必要です。

 

『④リン摂取制限』

基本的には低リン食で管理しますが、どうしてもCa × P < 70mg/gLを維持できない場合はリン吸着剤を使用します。

リン吸着剤の簡単な特徴
・アルミニウム製剤:安価だが、アルミニウム中毒の恐れ
・炭酸カルシウム製剤:安価だが、高Ca血症の恐れ
・炭酸ランタン:高価だが、吸着率がいい
鉄製剤:高価、吸着率は最高だが、高用量で下痢になる←最近の主流

 

『⑤代謝性アシドーシス』

腎機能低下によるHCO3-の減少が原因となります。
重炭酸ナトリウムを点滴することで是正します。が、過度の重炭酸ナトリウムは低カリウム血症を招くので、モニタリングしつつクエン酸カリウムを添加しておきましょう。

 

『⑥その他』

「腎性貧血」

エリスロポエチン製剤鉄製剤を添加することで対応します。

 

「尿毒症」

できることは少ないです。
腎移植血液透析などもありますが、動物では現実的ではないです。あとは姑息的にリン酸吸着剤などを投与するぐらいです。

 

【さいごに】

今回は慢性腎臓病を説明しました。腎臓の機能は動物が生きるためにとても大切な役割を担っています。読んでもらってわかるように、半端ない量です(笑)それほど複雑で難しい病気であることは間違いないです。かなりしっかりした内容になっているので、これを元に勉強して頂けたらと思います。