オタ福の語り部屋

獣医学を追求する。その先に見えるものは…

『うちの子が尿石症⁈ 種類別に詳しく解説』


尿石症のアイキャッチ画像

【はじめに】

今回は『尿石症』についてお話ししていきたいと思います。尿石症になった人はいますでしょうか?僕はなったことありません(笑)尿石症になった人に話を聞くとあれ、とても痛いそうじゃないですか僕の後輩も尿石症で痛すぎて、悶えながら救急車呼んだよって言ってました。 

さてさてお話を戻しましょう。そう、今回は人の話ではなく『動物の尿石症』のお話です。皆さんは動物の尿石っていろいろ種類があるのを知っていますか?尿石の成分別に分けた4種類の尿結石を比較しながら、紹介していきたいと思います。

 

【目次】

 

【尿石症ってなに?】

『尿石症とは』

 尿石症は腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路系と呼ばれる場所に石ができ、その石によって粘膜が傷つけられたり、おしっこの通り道が塞がったりすることで起きる病気です。

『じゃあ、尿石って何なん?』

尿石は尿中の水に溶けている物質が剥がれた粘膜や細菌に絡まって大きくなったものです。

 

【尿石ってなぜできるの?】 

尿石のできる原因として主に3つあります。

『①尿の成分に異常が出ている場合』

前述の通り、尿石とは尿に溶けている物質が集まって大きくなったものなので、尿量が減るとその分集まりやすくなります。そのため、脱水が起きている場合にできやすいです。また、その物質が集まりやすい尿pHがあり、尿酸化剤やアルカリ化剤などを摂取している場合にも尿石はできやすいのです。

 

『②食事に問題がある場合』

ミネラルや塩分の偏った食事をしている場合、尿中に溶けている物質の量も偏って増えるので尿石ができやすくなります。

 

『③尿路感染症がある場合』

尿路感染とは腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかで細菌などの感染が起きていることをいいます。尿路感染症になると粘膜が炎症によって剥がれており、細菌によって尿のpHが変化しているために尿石ができやすくなります。ブドウ球菌などのウレアーゼを産生する菌では尿素をウレアーゼによって分解し、アンモニアが増加します。そして、pHが上昇し、アンモニアイオンが増加するため、リン酸アンモニウム・マグネシウム尿石が作られる。 

 

『まとめ① 尿石ができる理由3つ』

①脱水などで尿量が減る+尿酸化剤やアルカリ化剤を服用している

②塩類のバランスが崩れ、偏った食事をしている

③ウレアーゼ産生菌による尿路感染症

 

【種類別、尿石の作られ方】

4種類の尿石について説明します。尿石は種類ごとにできる原因や治療法が異なるため、何ができているのかをしっかり見極めることが大切です。

 

『①ストバイト尿石(リン酸アンモニウム・マグネシウム)』

 ストルバイト尿石は犬の場合と猫の場合でできる原因が異なります。

「犬の場合」

犬の場合、尿のpHがアルカリ性に傾く時によく発症します。では、アルカリ性に傾き時はとはどんな時なのでしょうか?それは、『尿路感染』をしている時です。尿路感染をしている時、細菌が産生するウレアーゼと呼ばれる酵素によって、尿素がアンモニアに変わります。アンモニアはアルカリ性なので、尿はアルカリ性に傾いてしまうのです。

 

「猫の場合」

一方で、猫の場合は尿路感染がなくても発症します。猫では『キャットフード』が主な原因となります。低ナトリウム、高マグネシウムのキャットフードを食べている猫ではストルバイト尿石を作りやすくなります。マグネシウムを多く摂ると、尿石ができるためです。ちなみに牛でも穀物多めの飼料を与えて、飼育するとストルバイト尿石になります←牛の話は要らないですね(笑)穀物にはマグネシウムが多く含まれているためです。

 

『②シュウ酸カルシウム尿石』

シュウ酸カルシウム尿石は『雄』で多く見られます。というのも、肝臓で作られるシュウ酸塩はテストステロンが関与しているためです。逆に女性ホルモンであるエストロゲンはクエン酸の尿中排泄を増加させ、シュウ酸塩を作るのを邪魔します。また、シュウ酸カルシウム尿石ができる犬は人が食べるものを食べていることが多いという報告もあるため、犬には犬用のご飯をあげるようにしましょう。

なりやすい犬:M.シュナウザー、ヨークシャーテリア、シーズー

なりやすい猫:ペルシャ、ヒマラヤン、バーミーズ

 

『③尿酸塩尿石』

尿酸塩尿石とは尿中の尿酸とアンモニウムイオンの濃度が 高くなった時に起こります。

尿酸が高くなるのは肝臓の力が弱まった時です。肝臓では尿素回路というアンモニアを尿素に変換させる働きをしているのと同時に、尿酸は酸化させアラントインという物質に変換させてもいます。こういうわけで、肝臓の力が弱まるとアンモニアと尿酸が増えてしまうのです。

 

これにもなりやすい犬種がある

これはなりやすい犬種が決まっています。ダルメシアンとイングリッシュ・ブルドッグです。特にダルメシアンの尿酸塩尿石は有名です。この2つの犬種はかなりの確率で尿酸塩尿石になるので注意が必要です。理由としてはダルメシアンは元々先ほど話した肝臓での尿酸をアラントインに変換する能力が著しく低いです。そのため、尿酸が尿中に多く含まれます。おまけに腎臓で尿酸を吸収する能力も低いため、尿酸塩尿石になりやすいのです。ダルメシアンを飼育されている方は要注意です。

 

『④シスチン尿石』

極めてレアな尿石です。これは遺伝性の病気で、シスチナーゼの遺伝的な欠損が原因と言われています。この病気は犬の雄で起きます。よくなるのはダックスとイングリッシュ・ブルドックです。

 

『まとめ② 4種類の尿石について』

①ストルバイト尿石:犬は尿路感染、猫はご飯が原因

②シュウ酸カルシウム尿石:男性ホルモンが関与。雄でなりやすい。

③尿酸塩尿石:ダルメシアンで好発。肝臓にも気をつけて!

④シスチン尿石:遺伝性疾患。ダックスとブルドックで注意!

 

【飼い主さんにできること】

最後に飼い主にできることを話したいと思います。以上の説明からご理解して頂けた通り、尿石症の原因のほとんどは『食べ物』にあるのです。ストルバイト尿石では猫の高マグネシウム含量食でありますし、シュウ酸カルシウム尿石では人の食べ物を食べている場合に起こることもあります。肝臓が弱ったり、尿道が感染したりといったことは日々の生活でなかなか見つけるのは難しいでしょう。

しかし、食べ物に関しては自分たちで制御できるものなので、可能な限り健康的な食生活を目指して欲しいと思います。